旧石戸谷家住宅

かつて弘前市大字浜の町に建てられていた、津軽を代表する江戸時代の農家住宅です。木造一部2階建、茅葺屋根の建物で、総床面積437.63平方メートル(1階388.39 平方メートル・2 階49.24 平方メートル)を有する大きな建物です。
 元々の家主である石戸谷家の言い伝えによれば、かつて鰺ヶ沢町の種里に住んでいましたが、江戸時代の始めに萢中[やちなか](現在の浜の町)に移り住み、開拓に従事したとされます。それ以来、明治にいたるまで「萢中の大家[おおや]」と呼ばれ、藩主も立ち寄る家柄であったと伝えられています。
 この建物は文政5(1822)年の建築と伝えられますが、確実な証拠はありません。安政6(1859)年に修理した記録が残されていることや、木材の風化の度合いなどからみて、江戸時代末期の建築と推定されています。全体的にみて後の時代の改造も少なく、江戸時代の豪農の建築を知るうえで貴重な建物であることから、昭和60(1985)年に弘前市指定有形文化財に指定されました。その後、平成16 (2004)年に市に寄附されましたが、老朽化が進んだため、平成21(2009)年度に解体保存されました。
 市では、この貴重な建物について古民家としての公開とともに、堀越城跡のガイダンス施設としても活用するため、史跡隣接地(管理活用支援エリア)に移築復元することとしました。
 この移築復元工事は、平成27~30(2015~2018)年度までの4年間にかけて行い、令和元(2019)年度に内装工事を行いました。旧石戸谷家住宅(堀越城跡ガイダンス施設)は令和2(2020)年4月に全面公開しています。

解体前の旧石戸谷家住宅
解体前の旧石戸谷家住宅

旧石戸谷家住宅(堀越城跡ガイダンス施設、2020年)
旧石戸谷家住宅(堀越城跡ガイダンス施設、2020年)